• 【講演要旨】日本の平和づくり外交「祈る平和」から「つくって育てる平和」へ 講師:谷口智彦 外務省外務副報道官
  • 自治体サミット
  • パネルディスカッション「平和な未来をこどもたちに」
  • (財)広島平和文化センター理事長 スティーブン・ロイド・リーパーさんのお話
  • 一国民として戦争を語る 高矢君子さん(遺族)
  • 「四国からの元気な声」
  • ピース☆フェスタfromくらしき に戴いた祝辞等
  •  目の前の子どもたちも助けられないのに、世界に目を向けている場合ではないと、海外の痛ましい情報にあえて目をつぶってきました。戦禍や飢餓に苦しみ死に絶えてゆく情報を突きつけられても、そこまで手が回らない!と。それは、民族自決の原則や、他国への干渉をすべきではないという観点からは正しい道です。しかし、2001年9月11日「同時多発テロ」と称されるWTCツインタワーが崩れ落ちる映像がテレビニュースで流される第一報を見た瞬間に「リメンバー・パールハーバー」の言葉が脳裏をよぎりました。また同時に不登校と同じだ!とも。

     事実は、必ず事実ではなく、隠れた真実や隠された不都合な真実があるということ。子どもを追い詰める教師は自分の都合が良い嘘をつき、何よりも大切な宝である子どもを陥れ、そのせいでその子が周りの子どもや親から信用されなくなり、子どもの社会からつまはじきにされても、いじめられても、家庭が破壊してしまっても、「私が悪かった!」と真実を明らかにしてくれるわけでなく、自分のせいであることを受け入れるより、見殺しにしたり、冷徹さを増してエスカレートすらします。その非情な実態を目の当たりにし、事実を伝え、救いを求めても、誰も有効な改善ができませんでした。そんな悔しさを経験したおかげで、同じ構造の歪められた事実を見た瞬間に察知してしまうのです。

     それまでは、日本は卑怯にもパールハーバーを不意打ちした恥ずかしくも残虐な情けない国だと思い込んで、できれば日本人でなければ良かったのにとか、無国籍で居たいと思っていました。けれども、ツインタワーの崩落映像を見つめながら、日本は戦争を始めるように仕掛けられたのだと悟り、テロ組織の首謀者とされる国を攻撃する口実に仕掛けられたものであることがはっきりと見て取れました。戦争は、理性の交渉ができない野蛮な政治家が未熟だから起きるものと考えていましたが、戦争で利益を上げたい企みを持つ人が、冷徹に仕掛けるものであることがわかったのです。罪もなく企みもなく仕掛けに気付かぬお人よしの民衆がむごたらしい目に遭う!戦争になる!止めなきゃ!と思いました。しかし一介の民でしかない私にどんな力もありません。ならば子どもから大統領に「戦争をしないで」と手紙を出せば効力があるかもしれない!少なくとも一介のおとながあがくより遥かに可能性が高いだろうと考えて、娘たちに「大統領に戦争をしないでと手紙を書いてほしい」と頼みました。頼んだ瞬間に、大人が起こす戦争を、全くなんの責任もない子どもに頼むなんて恥ずかし過ぎる!もちろん、自分の為や大人社会の為ではなく、子どもたちのため、次世代の幸福のためのみですが、自らが非力だからと何もせずに子ども頼みとは情けないにもほどがあります。どんなに非力であっても、成果につなげられなくても、あがいて、あらがって、ダメだったけどこれだけ頑張ったよと顔を見て言い訳ができるくらいのことはしなければならないと思い至りました。

     そうして少しでも有効な戦争を止める方法を探しに探しました。そして行き着いたのが「世界に平和憲法を打ち立てよう」という、アインシュタイン博士が提唱し湯川秀樹博士夫妻が委ねられた世界連邦運動でした。インターネットで見かけたときには、ホームページの雰囲気が怪しくてコンタクトをとることができなかったのですが、岡山県庁文化財課に所用で出向いた際に小さな旗がデスクにあったのを見つけ、すぐに駆け寄り参加を申し入れました。

     入会したものの、世界連邦岡山支部はほとんど死に体状態だったので、活動の復活進展を期して提案と連携した実働を重ね蘇生してきました。市議会・県議会・国会への影響力も付いてきました。そのうちの一つとして開催したのが《ピースフェスタfromくらしき》です。
     当会は、総合企画と事務局を担い、最大限の人と資金の拠出をしましたが、多くの方々のご協力を戴いて「世界に平和憲法が必要」との啓蒙啓発が倉敷市を中心にでき、全国の活動への刺激になりました。

     ピースフェスタfromの準備中には、自治体合併により無効になった倉敷市世界連邦宣言の再宣言の採択を得るための準備や、国際刑事裁判所を日本が批准することを求める議会決議を、岡山県・岡山市・倉敷市で採択を得るために尽力しました。先駆けて、世界連邦運動協会本部のホームページの全面改定を、当会が費用を捻出して引受けました。こうした功績が高く評価され、入会後短期間で功労の賞を戴きました。

     世界の平和を実現する道のりは、1945年に終結した世界的な大戦から77年が経ちました。世界連邦運動に携わる人たちは、今なお尽力しておられますが、有効な戦争を無くす行動がとれているのでしょうか。
     グローバリズムと言われている潮流や、世界政府を作り人類の掌握をもくろむ人たちとはどういう関係になるのでしょうか。それ以前に、世界に平和憲法を求める運動をする人たちの内部で、理想を掲げる影で経済のやりとりが行なわれ、理想に邁進する人を貶める行為も残念ながら発生したときに、その立て直しや正常化の力を持っているのでしょうか。

     どんな組織も、どんな理想も、時を経て歪められてしまうことは、仕方がないことなのでしょうか?
    世界に平和憲法を構築することは、今の不穏な世界を安全安心なものに成長させるに違いないと思います。しかし、いつか有名無実にならないか?いつか転覆しないのか?いつか悪用されないか?不安が追いかけます。当会は、ピースフェスタfromくらしきを終えた後に、そうした世界連邦運動とは距離を置いて、世界中のそれぞれの「郷土を大切に思う自然な心」を互いに尊重し合うことを基盤にした「ふるさと運動」とでも言うような形態でのアプローチが良いのではないのかと考えるようになりました。
     そのことは、ピースフェスタfromくらしきに特別ゲストとして広島市長の名代として来てくださった(財)広島平和文化センター理事長スティーブン・ロイド・リーパーさんにも申し上げました。すなわち、「国家というものは、様々な事情や思惑が絡んで身動きが取れず、平和のために尽力することができないものであるが、自治体は住民が安心安全に暮らせることに尽力することが至上使命であるから、現在構成している平和市長会議をどんどんと推進して全世界を網羅すれば、世界平和は早期に実現するに違いない。」と進言しました。

     広島市が主宰しているのは市長が対象の市長会議ですが、私たちはもっと小さな地域自治会や、人類が本能的に大切に思える生まれ育った懐かしい場所が安心安全であってほしいと願う心を基盤にする「ふるさと」の互恵互助を軸とした連帯をつなげていくことが有効ではないか?と考えるようになりました。
     従って世界連邦運動を卒業して、世界にふるさとの互恵互助を繋げる活動の足掛かりとして、ふるさと文化協会を産み出し、試行錯誤しながら活動を行なっています。

     本当の幸福は、世界中の誰一人として見捨てることなく、理不尽に苦しめられることのない、心の底からの安心な笑顔が全ての人にもたらされたときにやってくるということを、悪意の人が気付いてくれることで樹立するのだと思います。そのためには、何をすれば良いのか?考え続け、慎重に行動し続けようと思います。

     2022年3月20日

     特定非営利活動法人こどもとともに交流会

    理事長 嶋津 和代